基本、方程式不等式は、ゼロで解く

基本、方程式不等式は、ゼロで解く

すうがくのじゅもん

じくちよ
*「おおじけんせ!
よくぞ もどってきてくれた!
わしは とても うれしいぞ。
*「そなたが つぎのシケンを
うけるには
あと もうすこしの
けいけんが ひつようじゃ。
*「いがくぶに うかったときは
わしに あいにくるようにな。
*「では ゆけ!
じけんせよ!

ものすごくしょうもない質問を一つ。

方程式って何ですか?

意外に答えられない人が多くいて困る。

もっとしょうもない質問もしてみよう。

式って何ですか?

式と方程式の意味は同じですか?

いよいよ、このおっさん、頭がおかしくなったのかと思うかもしれないが、僕はいたって真面目だ。

じけんせ
まあ、もともと頭おかしいよね。
じくちよ
*「おおじけんせ!
きさま のろわれるがよい!

そもそも、こういう根本的な定義の部分をクリアにしないで、やたらめったら問題解き散らかしている生徒が多すぎる。人生は短い。無意味な作業に費やす時間はない。できるだけ原理原則、定義から物事を判断することで無駄を省こう。何でもかんでもすべてを暗記で済ますのは人間の脳では無理だ。それはシリコン製の計算機がやるべきことであって、君がやるべきことではない。君がやるべきことは、根本を理解して、自分の暗記能力の限界の範囲内で問題を処理(判断)できるようにすることだ。だから、式とは何か? 方程式とは何か? そんなこともわからないと何も判断できない。常日頃からあらゆる語句の定義、本質を確認するクセをつけよう。

では、話を戻していく。

式とは、数量の事柄や関係を数学で決められた記号を用いて表現したもの。

良いだろうか。まあ、良いも悪いも定義がざっくりしすぎてピンとこないかもしれない。

例えば \(x\) と書くと、これはすでに立派な式である。しかし、方程式ではない。

式と式を等号でつないだものが等式、式と式を不等号でつないだものが不等式である。

馬鹿にしてるのかと感じるかもしれないが、まず、これを明確にして欲しい。式という言葉が含む範囲は広い。等号や不等号を含まないただの何らかの「値」そのものも式と呼び、その「値」を等号や不等号でつないだものも式である。

しかし、もし「式を解け」という問題があったとしたら、その「式」は間違いなく「等式」か「不等式」を指している。

特に、一つ以上の変数(未知数)を含む等式のことを方程式と呼ぶ。

さらにドン!

等式や不等式が変数(未知数)を含んでいる場合、その等号や不等号を成立させる変数の値(の集合)を解と呼び、解を求めることを式を解くと表現する。

要するに、等号や不等号を含む式、等式や不等式というのは、関係を表す「文章」であり、等号や不等号を含まない式(値)はただの「語句」である。文章中に不明な語句があった場合に、その語句が何を指しているかを調べるのが、解を求めるという作業になる。

さて、今回のテーマであるが、「方程式、不等式は、ゼロで解く」というのは何を指しているか。

そもそも、まず「解く」という言葉を使っている時点で、「未知数を含む等式や不等式を扱っている」ことに気付かないといけない。

で、その未知数の解を求めるのに、もっとも基本的な方法が「ゼロで解く」ということになる。

全ての項を左か右に寄せて、片方の辺をゼロにしてから解く。これをまず徹底して、基本動作として身に付けてから、例外的な動作を身に付けていこう。

簡単な例を挙げる。

\(x^3-x^2=4x-4\) —(*)について解け。

(*)\(\Leftrightarrow x^2(x-1)=4(x-1)\) —(a)
この時点で安直に\(x-1\)で割らない。基本動作としては、同値変形中は式を割らない。割るなら\(x-1\)が0かどうかで場合分けが要る。この程度なら簡単に場合分けに気付くけど、ややこしい式の時に無意識に割ってはいけないもので割ってしまうことがあるので、割るのは後回しにするというのを基本動作としたい。で、どうするかというと、ゼロで解く。

\(\Leftrightarrow x^2(x-1)-4(x-1)=0\)
とにかく全部片方に寄せて、もう片方を0にする。

\(\Leftrightarrow (x^2-4)(x-1)=0\)
くくれる因数があるならくくる。割らずにくくる。

\(\Leftrightarrow (x+2)(x-2)(x-1)=0\)
ここまで持ってこれたら間違いようがない。

\(\therefore x=1,\pm2\)

さて、「全然大したこと言うてへんやん、このおっさん、しょーもないわ」とか言っている人もいるだろう。「別にゼロにせんでも、(a)の段階で\(x=1\)を一つの解とした上で、\(x-1\)でさっさと割ったらええやんか」と言う人もいるだろう。

じくちよ
*「おお!
わしをしょーもないおっさん
よばわりしたものよ!
きさま のろわれるがよい!

じゃあ、不等式ならどうする?

\(x^3-x^2 \gt 4x-4\) —(**)について解け。

(**)\(\Leftrightarrow x^2(x-1) \gt 4(x-1)\) —(b)
ここで\(x-1\)で割る? 割るならまた場合分けが要る。しかも、今度は\(x-1 \lt 0, x-1=0, x-1 \gt 0\)の3通りの場合分けが要る。何故かというと、不等式の場合同じ数であっても両辺に負の数をかける(割る)と不等号の向きが変わるからだ。素直にゼロで解こう。

\(\Leftrightarrow x^2(x-1)-4(x-1) \gt 0\)
寄せて片方を0に。

\(\Leftrightarrow (x^2-4)(x-1) \gt 0\)
因数でくくる。割らない!

\(\Leftrightarrow (x+2)(x-2)(x-1) \gt 0\)
ここまでこれたら、解けたも同然。なんだけど、この後、どうするか? 場合分けしまくるとかはやめよう。グラフで視覚化したらすぐわかる。

\(y=(x+2)(x-2)(x-1)\)
こいつのグラフを書いて、値域が正になる定義域を調べればよい。三次関数の因数分解形(切片形)の式がわかっているので、チョイチョイチョイですぐに概形はわかる。イチイチ微分して増減表まで書くこたぁない。三次の係数の正負と解がわかっているので、概形は以下のようにしかならない。

blog2162

\(\therefore -2 \lt x \lt 1\) または \(x \gt 2\)

これを、もし、(b)の段階でゼロで解かずに場合分けしたとすると、こうなる。

\(x^2(x-1) \gt 4(x-1)\) —(b)

(i)\(x-1 \lt 0 \Leftrightarrow x \lt 1\) のとき
両辺を\(x-1\)で割って
\(\Leftrightarrow x^2 \lt 4\)
ちなみにここでもゼロで解くかどうかの選択が迫られる。
これもゼロにせずにやると
\(\sqrt{x^2}=|x|\) より
\(|x| \lt 2\)
\(\Leftrightarrow -2 \lt x \lt 2\)
となるが、ゼロで解くともっと機械的に終わる。

\(\Leftrightarrow x^2-4 \lt 0\)
\(\Leftrightarrow (x-2)(x+2) \lt 0\)
あとは、二次関数のグラフを書いて、負の部分を調べれば
\(\Leftrightarrow -2 \lt x \lt 2\)
は、すぐにわかる。

そして、そもそもの場合分け \(x \lt 1\) と合わせて
\(-2 \lt x \lt 1\)
この、場合分けを合わせるという作業も人為的ミスの要因となる面倒な作業だ。

(ii)\(x-1=0 \Leftrightarrow x=1\) のとき
\((b)\Leftrightarrow 0 \lt 0\) となり、矛盾が生じるので、不適。

(iii)\(x-1 \gt 0 \Leftrightarrow x \gt 1\) のとき
両辺を\(x-1\)で割って
\(\Leftrightarrow x^2 \gt 4\)
\(\sqrt{x^2}=|x|\) より
\(|x| \gt 2\)
\(\Leftrightarrow x \lt -2\) または \(x \gt 2\)
もしくはゼロで解く。

そもそもの場合分け \(x \gt 1\) と合わせて
\(x \gt 2\)

以上(i)(ii)(iii)より
\(-2 \lt x \lt 1\) または \(x \gt 2\)

はい。面倒臭い。

なので、ゼロで解くというのを、まず当たり前の動作としよう。ゼロで解けば、単純作業で解ける。それができるようになった上で、場合によっては寄せてゼロにせずに、左辺と右辺を別々の二つの関数と見てグラフを重ねて考えるといった応用もあるということを押さえよう。

とにかく、基本が大事。ゼロで解くという呪文は数学の勉強をしている限り、忘れることはできないものだ。常につぶやこう。電車の中でも、歩いている時でも、授業中でも、テスト中でも、向かいのホームでも、路地裏の窓でも、交差点でも、夢の中でも、明け方の街でも、桜木町でも、旅先の店でも、新聞の隅でも、急行待ちの踏切あたりでも、

「ゼロで解くゼロで解くゼロで解く……」

じくちよ
*「ねても さめても
すうがくにこいこがれて
すごすのじゃ。
*「わんもあたいむ
わんもあちゃんす。
こうかいしても
またらいねん。
そのげんじつを
こころするのじゃ。
*「では ゆけ!
じけんせよ!