逆関数、一対一、 y=x

逆関数、一対一、y=x

すうがくのじゅもん

じくちよ
*「おおじけんせ!
よくぞ もどってきてくれた!
わしは とても うれしいぞ。
*「そなたが つぎのシケンを
うけるには
あと もうすこしの
けいけんが ひつようじゃ。
*「いがくぶに うかったときは
わしに あいにくるようにな。
*「では ゆけ!
じけんせよ!

関数とは何かについては過去ログ(関数はひとつのxにyは一つ)参照のこと。

教科書的には、関数は「実数の範囲しか扱わず、一つの\(x\)に対して\(y\)は一つだけ定まる」というのが決まりである。

注意すべきことは、「一つの\(y\)に対して\(x\)が複数対応している」ことが別に関数の定義に抵触しないことだ。

簡単に言うと、関数と言うからには、縦に切ったら交点は絶対に一つだけど、横に切って複数の交点を持つのは別に構わない。三角関数なんかだと、定義域次第では、横に切ったらいっぱい交点が出てくるが、ちゃんと三角「関数」である。だが、しかし。三角関数の逆関数は、気を付けないと問題が発生する。

まず、逆関数も「関数」なので、教科書的な関数の定義を逸脱できない。つまり、「一つの\(x\)に対して\(y\)は一つだけ定まる」が守られていなければならない。

そこまでが、事前知識。では、ここから逆関数にまつわるエトセトラを解説していこう。

ちなみに、今回は解説がかなり長い。なんで長くなったのかと言うと、受験数学で「逆関数」にまつわる知識なんて大してないので、利便性を考えて一気にまとめたからだ。ただ、量は大してないんだけども、話が抽象的なので噛み砕くと解説の量がかなり増えてしまった。一度理解してしまえば、この呪文だけで全部思い出せるはず。最初に理解してしまうところまでは、頑張って欲しい。

じくちよ
*「いよいよ ここからが
ほんばんじゃ。
*「みごと しれんを
のりこえて
ぎゃくかんすうを
そなたの なかまと
してみせよ!

まず、逆関数の定義から。シンプルに。

\(y=f(x)\)について\(x=g(y)\)を満たす関数\(g\)が存在するとき、\(g(x)=f^{-1}(x)\)と表して、これを\(f(x)\)の逆関数という。

逆関数が存在するためには、\(y=f(x)\)の\(x\)と\(y\)は一対一の対応関係でなければならない。

以上が、逆関数を定義づけるために最低限必要な情報である。

\(x\)と\(y\)が一対一でないと、逆にしたときに、一つの入力に対して出力が複数になってしまう。試着室に一人で着替えに入った後そこからクローン人間が三人出てくるような状況は認めない。それが関数の定義。

逆にしたときにも一つの入力に対して一つの出力であるためには \(x \to y\) も \(y \to x\) もどちらも対応関係は一つずつである必要があり、結果 \(x \leftrightarrow y\) は完全に一対一対応の関係になっていなければならない。

もっとわかりやすく言おう。逆関数を持つとき、そのグラフは縦に切っても横に切っても交点は一つしかない。それでだいたいイメージはできたと思う。しかし、まだ足りない。もっと数学的な表現で覚えないと使えない。縦に切っても横に切っても交点は一つ。それって、なーんだ?

答はこれ。いっこめのまとめとしておこう。

ある実数値の連続関数が逆関数を持つための必要十分条件は、その関数が狭義単調となることである。
じけんせ
\(x\)と\(y\)が一対一というのはつまり単調増加か単調減少ならいいんだな?
じくちよ
*「おお! そういうことじゃ!
えをかいて たてよこきって
こうてんひとつ!

念のための補足。狭義単調とはお隣同士を比較したら常に増えているか減っているということ。広義単調ならお隣同士は等しいことも許される。\(y=c\)という定数の関数は狭義単調ではないが広義単調である。さて、今回の呪文解説は長い。まだ続く。

逆関数というのは、\(x\)と\(y\)を入れ替えたものなので、グラフで考えると、\(y=x\)に関して対称になるはずだ。その性質が非常に重要で、特に逆関数ともとの関数の交点探しにおいて、この知識はかなり活きてくる。

\(y=x\)に関して対称な二つの図形の交点はどこにある?

にこめのまとめはこれ。

ある関数とその逆関数が交点を持つならば、必ず\(y=x\)上に交点は存在するが、\(y=x\)上にない例外的な交点が存在することもある。
じけんせ
さっきのよりだいぶわかりづらいぞ。わからん。解説も長いし、疲れた。
じくちよ
*「しかたのない やつだな。
おまえに もう いちど
きかいを あたえよう!

表現がわかりづらいかもしれないが、よくよく考えたらわかるはず。ある直線に関して対称な二つの図形を重ねることを考えよう。それぞれの図形が対象の軸と交点を持たず離れていた場合、図形同士も離れたままで交点を持たない。軸の右と左みたいにわかれていたら交点持つわけないのはわかるだろう。交点を持つとしたら、そもそも対象の軸と交点をもっており、その点が交点となるはずだ。絵を描いてイメージを作っておこう。

表現を変えると、この二つの図形が交点を持つなら、絶対に対象の軸上に交点があるということ。

ただ、対象の軸上だけにしか交点がないのかというと、たまにそうでない交点もある。かなり例外的な処理になるが、まとめる以上知っておく必要がある。

例外的な交点

図形そのものが軸に関して対称な点を持っていた(図形全体が対称な形である必要はない)場合、対称な図形を重ねて描いたとき、その点は交点となる。

具体例として\(y=-x^3+1=f(x)\)のグラフを書いてみよう。

ラフな図で申し訳ないが、手書きのグラフをつけておく。

y=-x^3+1=f(x)と逆関数のグラフ

どうだろうか。交点は5点ある。\(y=x\)を軸として見たときに、まず軸上に1点。残りの4点は2点ずつ軸に対称な位置関係にあるのがわかるだろうか。

目を細めて、もとの関数のグラフ(黒いグラフ)だけに注目して見て欲しい。その気になれば、逆関数のグラフ(赤いグラフ)を書かずとも、\(y=x\)との交点の有無を調べ、自身が\(y=x\)に関する対称点を持つかを調べれば、逆関数との交点はわかるのだ。

ただ、視覚による補助はできるだけ利用すべきであるから、問題を解くときははちゃんと逆関数のグラフも書いて重ねるように。

その上で、という念押しをした上で、この知識があると、だいぶ計算量が変わる問題が多い。

二次関数(の一部)とその逆関数の交点を求める問題が大多数だが、これは実質素早く解こうと思うと解き方はひと通りしかない。逆関数を実際に求めて連立するのは一番ダメなやり方。二次式と二乗根の式を連立したら四次式になる。もし、これが先ほどのまとめの例外的な交点を持たないなら、もとの二次関数と\(y=x\)を連立して交点を求めたら終わる。二次方程式の解を求めるだけだ。注意すべきは本当に例外的な交点を持たないかである。それを調べるための典型的な手法を載せておく。

\(y=f(x)—(1)\)
\(x=f(y)—(2)\)
\((1)-(2)\)より
\(y-x=f(x)-f(y)\)
整理して
\((x-y)p(x)=0\) *1
このとき与えられた\(x,y\)の範囲内で\(p(x)\neq0\)であれば *2
交点は\(y=x\)上にしかない

*1 \(f(x)\)が多項式なら\(x-y\)で因数分解される。
*2 もし\(p(x)=0\)があり得るなら例外的な交点についても調べねばならない。それは典型問題ではない。\(y=p(x)\)が簡単な関数ならもとの関数と連立すれば交点がわかる。複雑そうなら、問題の特殊性により交点が見つかるか、地道に逆関数を求めて連立するか、何らかの誘導がついているはず。

ここまでまとめている参考書は見かけないので、こういう視点はなかったかもしれない。参考書や問題集を見ると、だいたい、この解答だけが書かれていて、背景やどういう問題が入試問題として出るのかあるいは出せるのかまでは書いていない。例外的な交点についても、書かれていないか、せいぜい具体例が一つ紹介されているだけだ。ちゃんとここまでイメージしておけば、準備としては抜かりないと言えるだろう。

ともかく、以上で、呪文の解説は終了だ。今回は長くて疲れたと思うが、せっかく読んでくれたのなら、書いてあること全部理解して、呪文唱えるだけで全て思い出せるようにしておこう。この辺の概念は雑に扱う受験生が多いので、絶対に差が付けられる。

最終まとめ

逆関数を持つための条件は\(x\)と\(y\)が一対一で対応していること。もとの関数と逆関数の交点を調べるときは基本的には\(y=x\)との交点を調べるのが早いが、たまに例外的な交点がある。

頑張って。

じくちよ
*「すうがくで キズついたときは
いえにもどり ベッドで ねむって
キズをかいふくさせるのだぞ。
*「では ゆけ!
じけんせよ!