自己管理と言われても……

レアル大阪では創設以来一貫してずっと自己管理指導を重視してきた。しかし、自己管理が大切と言われても、では実際に何をすれば良いのかわかっていない人が多い。

指導する側としてはあの手この手、様々なアプローチで導くことになるが、教育論的なことはひとまずおいておく。実際に目の前にあるやるべきことを確実に処理してゆく、そのために必要なことを押さえておこう。

勘違いしている人が多いが、最も必要なことは、自分を律する「強い意志」ではない。意志の力だけで何かを為そうなど、方法論としてリスクが高すぎる。ひたすらに念ずることで通じる可能性は確かに上がる。しかし、受験のような膨大なタスクをこなす必要のある大きなプロジェクトは念ずるだけでは通じない。しっかり自己管理して学習を継続しなければならず、ただただやる気があれば、気合さえあればできるというのは自学自習している生徒が陥りやすい危険な考えだ。最も必要なことは、「やる気」ではない。正しい方法論である。「正しい」というのは、正解が一つしかないという意味ではなく、各人にとって「正しい」ものが正解である。とにかく、「やるしかない」というのは紛れもなく真実だが、しかし「やるしかない」と何万回唱えても学力は伸びない。また、やり方がよくわかっていない生徒がとにかく「やれ」と命令されても、やれるはずがない。だから、ちゃんと学習を継続できる正しいやり方を見つけることが、何にも増して必要なことである。

そうは言っても、自分にとって正しいやり方を見つけるというのは、なかなか難しい作業である。どこから始めようか。まず、とにもかくにも、計画を目に見えるようにすること。具体的に書き出してデータを取ること。そこから始めよう。わからないなりに中長期の予定を立ててみる。どれくらいのペースでやれば受験に間に合いそうか、自分なりに頑張って厳密に見積もってみる。「どうせ後で修正することになるから適当でいいや」とここで妥協してしまう人は、一年間ずっと妥協してしまう。後で修正するとしても、できる限り丁寧に厳密にしっかりと計算して予定を立てる。そうしないと、データを蓄積する意味がなくなる。次にやるべきことはデータの蓄積である。毎日の学習記録を取ろう。中長期の予定から下ろしてきたその日の予定と実際に何をやったのかを、これも厳密に記録して蓄積する。そして、そのデータをもとに中長期的な計画と比較して、ペース配分を修正してゆく。しっかり具体的に日々の記録を取っていれば、復習の計画も立てやすい。当たり前すぎて何の面白みもないと思うが、これを継続できれば大きなプロジェクトをこなすだけの自己管理能力は身についてゆくだろう。

ただ、問題は、非常に手間がかかる、面倒くさい、ということだ。例えば、レアル大阪に来れば、一定のフォーマットに基づいて真面目に記録をつければ自動的にデータの蓄積ができるよう自己管理手帳があるし、日々記入済みの手帳はチェックを受け電子化されて保存されるため、それなりの強制力も働いて、継続するモチベーションは保ちやすい環境にある。が、これをもしたった一人でやろうとすると、確かに鋼鉄の意志が必要になるだろう。僕は、受験生時代、自分で日々のやるべきタスクは全て表を作成して管理していたが、あの時代にいまレアル大阪で使っている手帳があれば、もっと容易にタスク管理できただろうなと思う。そして、当時勉強仲間はたくさんいたが、でも、タスク管理について価値観を共有出来る仲間がいれば、もっと楽だっただろうなと思う。

さて、長くなったが、そろそろ話を締めよう。いまここに書いてあることをヒントにすれば、理論上は誰でも受験勉強くらいのプロジェクトは管理できるはずである。でも、それは理論上のお話。現実問題としてそれを実行するには、ある程度他人(塾・予備校)が確立した方法論を拝借することで手間を省き、他人(塾・予備校の生徒)と目的を共有することでモチベーションを維持するということをおすすめする。

受験勉強においては、中身そのものの理解力とタスク管理能力の二点が問われると思って良い。多くの悩める羊たちは、だいたい前者のことばかり気にしている。理解力は瞬発力、管理能力は持久力につながる。理解力は、そもそも学力を上げるための大前提であるが、最終的に学力を上げるのは、間違いなく管理能力だ。しかし、管理能力だけを高めろという言うのも間違いで、両方とも要る。近頃は、逆に振り切りすぎて教科指導よりも管理指導だけを徹底するような塾もあるようだが、そういうことではなくて、両方要る。

医学部に、本気で合格したいなら、本気で取り組もう。

もし、いま自分が伸び悩んでいるとしたら、どちらが原因か。それを見極められれば合格は近い。